「PHANTOMS」は、リサーチに基づく視聴覚的なテキスタイル・プロジェクトであり、刺繍を、素材の知性、文化的記憶、そして未来へ向けた工芸のメディウム(媒体)として捉え直す試みである。プロジェクトは、スイスのテキスタイル産業の歴史的中心地に始まり、中央ヨーロッパからシルクロードを経てアジアへと至る旅へと展開してきた。そこでは、消滅の危機にある手刺繍の技法とアーカイブ・リサーチが、デジタル・ファブリケーションと結び合わされる。
alter.tokyo 2026 では、PHANTOMS は空間インスタレーションへと展開し、目に見えない構造を知覚しうる体験へと翻訳しながら、刺繍のうちに埋め込まれた隠れた構造(アーキテクチャ)を探究する。本プロジェクトは、Selma を、いずれも生きた無形文化遺産を体現するスイスの刺繍職人と中国のテキスタイル職人とともに迎える。異文化・異世代・異分野にまたがるこのコラボレーションは、伝統的な職人技、歴史ある刺繍機械、そして現代のデザイン言語を接続し、知覚しえないものを、触れられるものへと変える。PHANTOMS は観る者に、ヘリテージ(遺産)とデザインの関係を問い直し、人間の芸術的表現とテクノロジーの精緻さとのあいだの対話を探ることを誘う。