日本に根ざした美意識や、長い時間をかけて培われてきた伝統的な技術を、現代の視点から捉え直し、国内外へ広く伝えることを目的とした、和紙生産者、染色職人、デザイナーによるマテリアルリサーチプロジェクト。一見交わることのない三者の実践は「繊維」という共通項を軸に結びついている。約2年にわたるリサーチの中で、デザイナーは和紙の原料である梶の木の採取から関わり、繊維がほぐされ、漉かれ、紙として立ち上がるまでの一連の工程を身体的に経験した。素材の性質、職人の身体感覚、道具、工程に着目することで、受け継がれてきた技術を新たな視点から読み解いている。和紙が持つ長い繊維構造は、単なる支持体ではなく、液体を導き、滲ませ、留める「構造体」として機能する。本プロジェクトでは、和紙職人と染色職人が蓄積してきた知識や経験に対し、デザイナーがその関係性と現象を読み解き、異なる専門性を横断しながら、技術を次の表現やものづくりへとつなげ、その新たな可能性を提示する試みである。
Yuma Kano
NOU Inc. / Designer