HAMAとは、陶磁器の焼成時に器を支え、変形や付着を防ぐ台座のことです。ひとつひとつ手作りされますが、器ごとに形が異なるため使用後は再利用されず、廃棄されることが多いことから、裏方の無名のヒーローとも言えます。
高温で事前に焼成されるHAMAは耐久性が高く収縮しにくい一方で、釉薬や染料を吸収しにくいため加工が難しく、再利用の方法はまだ模索されています。
本プロジェクトでは、使い捨てだったHAMAにデザインと構造を再導入し、新たな価値を生み出すことを試みます。さまざまな素材や作品への着想源としての応用を通じ、HAMAの形・素材・機能の可能性を再解釈。単なる陶芸の補助具から、持続可能で現代生活に寄り添うプロダクトやアートオブジェクトへと昇華させることを目指します。
「HAMA Reimagined」には、異なる分野で活動する5名のクリエイターが集まりました。大工・木工デザイナーの劉功眞は店舗や住宅の内外装、家具制作で職人として現場を支えている。白水高広は「うなぎの寝床」創設者として、九州の産地と連携し地域文化の発信に取り組んでいます。陶芸作家の井上祐希は、有田焼の伝統を受け継ぎながら、ファッションやアートとのコラボレーションで新たな表現を探求。テキスタイルデザイナーの光井花は、日本の伝統技法を現代に翻訳し、国内外で作品を発表しています。プロダクトデザイナーの鈴木康洋は、素材の特性を引き出したデザインを追求しています。多様な視点が交わることで、HAMAの可能性を広げています。